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コラム

フィリピンの外資規制の緩和について

2023年4月10日

フィリピンの外資規制について解説するにあたって、まずは昨今注目されている、ドゥテルテ政権下で加速するフィリピンの外資規制の緩和について解説します。

 

もともと、フィリピンは自国の産業保護のために外資参入を厳しく制限する姿勢をとっており、

FDI

(外国直接投資)に対する規制の厳しさを指数化した国別ランキング(

OECD

:経済協力開発機構による)でもアジアで1位となっています。

フィリピンはさまざまな業種で外資比率の上限を厳しく定めています。外資 100% が認められている業種でも事実上の外資規制を行っており、例えば小売業においては、払込資本金や 1 店舗当たりの投資額を高く設定することで参入の障壁を高くしていました。

そんなフィリピンの外資規制が、前ドゥテルテ政権下において変わろうとしています。

2021年5月21日、フィリピン上院は2000年に施行された小売自由化法における外資規制を緩和する「上院第 1840 号法案」を可決しました。

 

2021年5月に外資規制の緩和案が上院で可決。2020年、「外国投資法」「公共サービス法」「小売り自由化法」の外資規制関連3法の緩和案がフィリピン議会下院にて承認されました。その翌年である2021年5月には、小売自由化法における外資規制を緩和する「上院第1840号法案」が上院において可決されています。 これまでフィリピンで外資企業が小売業界に進出する際には払込資本金として250万ドル(日本円にして約2億7,000万円)以上を求められていたのですが、これが5,000万ペソ(日本円にして約1億1,000万円)以上となり、参入障壁となっていた払込資本金が大幅に引き下げられるなど、事実上の参入障壁を撤廃する内容となっており、外資規制の緩和によって今後フィリピン小売業界への外資企業の投資が加速していくことが予想されます。

 

🟩外資規制とは「国内企業の外国企業の投資に対する規制」のこと

ここからは改めて「外資規制」とは何か? について解説します。 外資規制とは一言でいうと「外国企業が国内企業に対して行う投資に関する規制」のことです。 つまり、他国の資本が国内企業に対して行う投資を規制するのが「外資規制」ですが、規制内容は国によって異なります。 日本の外資規制は「外国為替及び外国貿易法(通称:外為法)」で規定されています。当然、国によって規定されている法律は異なりますし、外資規制の内容そのものも異なります。 国内企業への外国資本による投資を規制する外資規制は、国の安全保障や経済政策にかかわる重要な規制です。これを知らずに海外事業をすすめることはできません。 🟩フィリピンにおいて外資による投資が規制もしくは禁止される業種は「ネガティブリスト」に記載されることになっており、これは状況に応じて定期的に改定されます。現在、2018年に改定された第11次ネガティブリストが最新のネガティブリストとなっています。

フィリピンでは外国投資に関する基本法が3つあります。 ・1987年に投資への優遇措置を定めた「オムニバス投資法(Omnibus Investment Code)」 ・1991年に外国投資の規制に関するネガティブリストを定めた「外国投資法(Foreign Investment Act)」 ・1995年に特別経済区内に進出する企業への優遇措置付与を定めた「特別経済区法( Special Economic Zone Act)」 フィリピンにおいて、外資規制に関するネガティブリストは、「外国投資法(Foreign Investment Act)」に基づいて制定されています。 ネガティブリストにはAとBの2種類あり、リストAには憲法や法律で規制・禁止されている業種が記載されています。リストBには安全保障や防衛、公衆衛生、公序良俗などの観点から規制されている業種が記載されています。

 

6. フィリピンの外資規制(ネガティブリスト)

この項では、フィリピンの外資規制の内訳について具体的に見ていきましょう。

 

フィリピンでの外国投資法による規制業種・禁止業種

前述の通り、外資による投資が規制・禁止される業種は外国投資法に基づいて制定されたネガティブリストに記載されます。 リストAで禁止されているのは核兵器に関わる業種や民間の探偵、警備員などの11分野であり、制限されているのは広告業や雇用斡旋など13分野で、制限内容は業種によって異なります。 リストBには禁止業種はなく、制限業種が記載されています。弾薬や火薬などの製造・修理・保管・流通に関わる、フィリピン国家警察や国家防衛省の許可を要する業種となっています。 詳しくは下記のリンクをご確認ください。 「フィリピン 規制業種・禁止業種『第11次ネガティブリスト』」JETRO

 

フィリピンでのネガティブリストにおける外資出資比率

ネガティブリストには外資出資比率別の制限業種が記載されており、記載されている出資比率は100%禁止、25%・30%・40%以下となっています。 リストにある出資規制業種でなければ原則100%外資可能となりますが、建設業など免許が必要な業種は外資制限が課されることもあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

 

フィリピンでの外国企業の土地所有の可否

土地の所有はフィリピン人、もしくはフィリピン人が資本の60%以上を所有する株式会社などに限定されており、外国人や外国企業が土地を所有することはできません。ただし、外国人であっても投資のみを目的とする場合は、利用する土地のリースが可能です。リース期間は最長で50年となっており、更新は1回限り、25年とされています。 外国人が投資のみを目的とせず土地をリースする場合には、リースの契約期間は最長で25年となっており、こちらも更新は1回限りの25年と定められています。

 

フィリピンでの資本金に関する規制

会社法の改正により、会社設立に際しての資本要件は撤廃されましたが、増資の場合においては25%の資本要件が従来どおり残っています。 フィリピン国内市場向け企業であり、外国資本が40%超となる企業の最低払込資本要件は20万ドルです。ただし、先端技術を有する企業、もしくは50人以上を直接雇用する場合にはこれが10万ドルに引き下げられます。 銀行などの特定事業には最低払込資本要件が高額となりますので、注意が必要です。

 

フィリピンでのその他の規制

2019年12月31日決算の会社に適用される財務諸表提出期限の変更や、「5,000 万ペソ以上の総資産」「外国人が議決権株式の40%超を持つ」「CP(コマーシャルペーパー)を発行している」この3つの条件いずれかを満たす金融機関が遵守しなければならないコーポレート・ガバナンス法があります。 その他、保険会社の最低資本額、年次報告書の提出義務については以下のとおりです。

■ 保険会社の最低資本金額
保険会社の最低資本金額は、かつては海外資本比率に応じて最低払込資本金が定められていましたが、2012年6月から変更され、資本比率に関係なく一律の金額となりました。